御家流おいえりゅう)” の例文
しかし私の手蹟じゃ不味まずいから長州の松岡勇記まつおかゆうきと云う男が御家流おいえりゅうで女の手にまぎらわしく書いて、ソレカラ玄関の取次とりつぎをする書生に云含いいふくめて
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼が十歳のとき甘木の祇園ぎおんの縁日に買い来しものなり、雨に湿みて色変りところどころ虫いたる中折半紙に、御家流おいえりゅう文字を書きたるは、とらの年の吉書の手本、台所のゆがめる窓よりぎ来たれる
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
たとえば上等士族は習字にも唐様からようを学び、下等士族は御家流おいえりゅうを書き、世上一般の気風にてこれを評すれば、字の巧拙こうせつを問わずして御家流をば俗様ぞくようとしていやしみ
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)