御兜おんかぶと)” の例文
図書 存じも寄らぬおんたまもの、姫君に向い、御辞退はかえって失礼。余り尊い、天晴あっぱれ御兜おんかぶと
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれども、やがて、上の姉さんが諏訪法性すわほっしょう御兜おんかぶとの如くうやうやしく家宝のモオニングを捧げ持って私たちの控室にはいって来た時には、大隅君の表現もまんざらでなかった。
佳日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それはうるう二月の一日であったが、この日宮家には蔵王堂の御座ぎょざに、赤地の錦の鎧直垂よろいひたたれに、こくばかりの緋縅ひおどしの鎧——あさひの御鎧おんよろいをお召しになり、竜頭たつがしら御兜おんかぶとをいただかれ
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)