徒士頭かちがしら)” の例文
殊に、お縫とのあいだにも、子が生れ、彼自身も大人おとなの域へ近づいていった。宝永元年、徒士頭かちがしらにすすみ、同五年、目付役に累進るいしんした。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と——案のじょう、それまで供揃いもいかめしく、練りに練ってやって来た行列先のお徒士頭かちがしららしい一人が、早くも源七郎ぎみの釣り姿をみとめて
これだけの心得がなくて、本役をお受けできるか——勅使両山御霊屋へ御参詣、お目付お徒士頭かちがしらが出る。定例じゃぞ。十三日が、天奏衆御馳走のお能。高砂たかさごに、三番叟さんばそう。名人鷺太夫がつとめる。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
とりの下刻に西丸目附徒士頭かちがしら十五番組水野采女うねめの指図で、西丸徒士目附永井亀次郎、久保田英次郎、西丸小人目附平岡唯八郎ただはちろう、井上又八、使之者志母谷つかいのものしもや金左衛門、伊丹いたみ長次郎、黒鍬之者くろくわのもの四人が出張した。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
大岡家は、十一家もあり、ここの忠右衛門忠真ただざねは、本家格ではないが、お徒士頭かちがしら、お先鉄砲組頭、駿府定番じょうばんなどを歴任し、いまは、閑役にあるといえ、やしきは大きなものだった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)