後金あとがね)” の例文
「それも考えておりますから、ご心配には及びません。……ですが旦那、首尾よく仕遂げた後で、後金あとがねはやれねえなんて苦情は出やしますまいね」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ところで、あの足音だ、——後金あとがねゆるんだ雪駄せつたを引摺り加減に歩くところは、女や武家や職人ぢやねえ、落魄おちぶれた能役者でなきア先づ思案に餘つたお店者たなものだ」
わたしは一旦家へ帰って、後金あとがねを都合してから追っ掛けて行く。なに、嘘じゃあない、きっと行く
半七捕物帳:31 張子の虎 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こいつが焼跡へ忍んで行くから、その通りついて行って見ると、その焼跡を鉄の棒でほじくって、そこで金目になりそうなものは、雪駄せった後金あとがねであろうとも、鎌の前金であろうとも
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
後金あとがね五両、たしかずらな?」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ところで、あの足音だ、——後金あとがねの緩んだ雪駄せったを引摺り加減に歩くところは、女や武家や職人じゃねえ、落魄おちぶれた能役者でなきゃアまず思案に余ったお店者たなものだ」
「金はいまねえが、後金あとがねということもあるんだ。とにかく生きた人間を斬ッて、この通りだという値打ちを先に見せるがいいや。それとも、四つン這いに手をついて謝罪あやまるか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それからどうしたね。その男は後金あとがねを持って来たらしいかえ」と、半七はまた訊いた。
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
後金あとがね五両フイになる
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)