後様うしろざま)” の例文
杖は※状かぎのて自然木じねんぼくなるが、その曲りたる処に鼻をたせつ、手は後様うしろざまに骨盤のあたりに組み合せて、所作なき時は立ちながら憩いぬ。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは——床に落ちた書類を拾おうとして、被害者が身体をかがめたところを、その一眼鏡モノクルの絹紐で、犯人が後様うしろざまに絞め上げたと云うのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
『古史通』に「『神代巻抄』に人を呪詛じゅそする符などをば後様うしろざまに棄つる時は我身に負わぬという、反鼻へびをも後様に棄つれば再び帰り来らずというと見えたり」
その両脇から博士を後様うしろざまに抱えて、右手に持った護符刀タリズマンを心臓の上に軽く突き立て、すぐにその手を離してしまう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)