当推量あてずいりょう)” の例文
旧字:當推量
半次郎 俺には文句が読めねえが当推量あてずいりょうで判っている。下総飯岡いいおかの身内の者で、俺の首をあげに来た奴等が寄こした、呼び出し状だ。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
これは内證ないしょうのおはなしですがね、勿論もちろん百年も以前まえの事ですから、誰も実地を見たという者もなく、ほんの当推量あてずいりょうに過ぎないのですが、昔からの伝説いいつたえに依ると
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
余事はとにかく、私は道に迷って困惑しながら、当推量あてずいりょうで見当をつけ、家の方へ帰ろうとして道を急いだ。
猫町:散文詩風な小説 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
ですが、あなたのお心を二十年来悩まして来た事柄も、こういう風に考えればすっかり気安くなるではありませんか。如何にも私の申上げたことは当推量あてずいりょうかも知れません。
二癈人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
良人よりもお代の父が当推量あてずいりょう「ナニ大丈夫さいやしくも文学士の家だもの、いくら狭くっても五人や十人寝る事の出来ないような気支きづかえはない。東京では上等の人が馬車へ乗って歩く。満だって今に馬車へ乗るようになるだろうからそんな狭い家にいるはずがない」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)