張出はりだし)” の例文
芝生は南に走る事十間余にして、高樫たかがしの生垣に尽くる。幅は半ばに足らぬ。しげき植込にさえぎられた奥は、五坪いつつぼほどの池を隔てて、張出はりだしの新座敷には藤尾の机が据えてある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
正的まともに町と町がくっついた三辻みつつじの、その附根つけねの処を、横に切って、左角の土蔵の前から、右の角が、菓子屋の、その葦簀よしず張出はりだしまで、わずか二間ばかりのあいを通ったんですから、のさりとくのも
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鳩よ鳩よ風邪かぜをなひきそ高窓の軒の張出はりだし雨雫する
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「法科はビリから十番、文科は張出はりだしです」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その岸ともいつつべき張出はりだし欄干近らんかんぢか窓掛まどかけ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)