弔辞くやみ)” の例文
旧字:弔辭
定津院の長老、世話人と言つて姫子沢の組合、其他父が生前懇意にした農家の男女をとこをんな——それらの人々から丑松は親切な弔辞くやみを受けた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
心の底から思ひやる深い真情を外に流露あらはして、銀之助は弔辞くやみを述べた。高柳は煙草を燻し/\黙つて二人の談話はなしを聞いて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
正太はたもとを探った。三吉は甥がくれた巻煙草に火をけて、それをウマそうにふかしてみた。葬式の準備やら、弔辞くやみを言いに来る人が有るやらで、家の内は混雑ごたごたした。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
久し振で学校の方へ雪道を辿たどつた時も、多くの教員仲間から弔辞くやみを受けた時も、受持の高等四年生に取囲とりまかれて種々いろ/\なことを尋ねられた時も、丑松は半分眠り乍ら話した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その時、大きなテエブルを取囲とりまいた学士達から手厚い弔辞くやみを受けた。濃情な皆川医学士は、お房のために和歌を一首作ったと言って、壁に懸けてある黒板の方を指して見せた。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)