幾片いくひら)” の例文
今も老人はその算当をしてしまって、幾片いくひらかの金を封じにかかると、その窓の下でバタバタと人の走る音がしました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
遅桜おそざくら幾片いくひらが、どこからか風に送られてくる。晩春、月はまだかさし、木々の芽のにおいはほのかだった。——と、誰か、徐々、膝拍子をたたきながら朗吟する者がある。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両手を袖へ引っ込ませると、バラバラと落ちて来た小判幾片いくひら。甚内が蒔いたさっきの小判だ。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
幾片いくひらは、朽ちもせで、路のほとりに。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
と言って、お銀様が無雑作むぞうさに箱の中からつまみ出したのは、幾片いくひらかの小判でありました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)