平等院びょうどういん)” の例文
平等院びょうどういんだったね? 扇の芝は? 『椎を拾いて世を送るかな』なんて生きている中から位一級を進めて貰いたがるところは頼政よりまさ俗物ぞくぶつだね」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
が、多病で——などといいたてて、早くに、堂上仕えをやめ、夏は、頼通の別荘、宇治の平等院びょうどういんへ間借りして、避暑がてら、「今昔物語こんじゃくものがたり」の著作などやっていた。
平等院びょうどういんの岸近く細長い島がある。浮島と云うそうだ。島をおお枯葭かれよしの中から十三層の石輪塔せきりんとうが見える。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
平等院びょうどういん、扇の芝、塔の嶋、山吹の瀬、宇治おち、かたうらの蔵松、真木の鈎月、伏見の指月など、名所古蹟は申すまでもなく、西は八幡、山崎、狐河、淀、一口いもあらいのあたりへかけ
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
側近が昨夜お寝みにならぬお疲れのためであろうと、平等院びょうどういんにお入れして休息させた。敵襲をおもんばかって、宇治橋の橋板三間を引きはがし、宮と共に兵もここで一息入れていた。
後冷泉ごれいぜい天皇の御勅筆ごちょくひつがくを今も平等院びょうどういんの隣の寺で拝見することができるが、その頃の男の漢文の日記などに東宮時代の同帝がしばしば宇治の頼通よりみちの山荘へ行啓ぎょうけいになったことが書かれてある。
聞けば、高倉の宮をいただいて、源氏の老強者ふるつわもの三位頼政さんみよりまさが、渡辺党や、三井寺みいでら法師の一類をかたらって、一門宇治平等院びょうどういんにたてこもって、やがて、都押しと聞いた
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)