幕切まくぎれ)” の例文
彼はきずつけられた自分のプライドに対しても、この不名誉な幕切まくぎれに一転化を与えた上で、二人と別れなければならないと考えた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたし明日は、十三場の幕切まくぎれを、気をつけてやってみたいと思いますの。あすこ、今日は少し失敗だったと思いますの。」
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
遺書を見るに及びてますます復讐ふくしゅうの志を固うす。偶々たまたま久吉順礼姿となりて楼門下に来り、五右衛門と顔を見合すを幕切まくぎれとす。これを読まばこの筋の評するねうちなきこと自らあきらかならん。
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
「ハハハ」「ハハハ」と軽いわらいで、双方とも役者が悪くないから味な幕切まくぎれを見せたのでした。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
時に歌舞伎座作者部屋には榎本氏を除きて四人の作者あり。竹柴七造竹柴清吉たけしばせいきち黙阿弥もくあみ翁の直弟子じきでしにて一は成田屋づき一は音羽屋付の狂言方きょうげんかたとておも団菊だんきく両優の狂言幕明まくあき幕切まくぎれを受持つなり。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
青い捕手とりて幕切まくぎれ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)