常磐津ときわづ)” の例文
そこで常磐津ときわづの稽古をはじめだしたのですが、これがその自分でいうと変ですが、なまじ器用な声がでたりなにかするところから
初看板 (新字新仮名) / 正岡容(著)
常磐津ときわづ浄瑠璃に二代目治助が作とやら鉢の木を夕立の雨やどりにもじりたるものありと知れどいまだその曲をきく折なきをうらみとせり。
夕立 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私の子供の頃には、元園町一丁目だけでも長唄の師匠が二、三げん常磐津ときわづの師匠が三、四軒もあったように記憶しているが、今では殆ど一軒もない。
思い出草 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
主婦おかみに大目玉をくった事があるんだけれど、弥生やよいは里の雛遊ひなあそび……は常磐津ときわづか何かのもんくだっけ。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
同時にお豊にして浅草の片隅に住むしがない常磐津ときわづの師匠でなかったら、松風庵蘿月にして向島の土手下に住む安気あんきな俳諧の宗匠でなかったら、そうまでしかし無条件に
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
「清元、常磐津ときわづ、長唄、新内、その他一般の三味線学でござる。日本古来よりの芸道でござる」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私の子供の頃には、元園町一丁目だけでも長唄の師匠が二、三軒、常磐津ときわづの師匠が三、四軒もあったように記憶しているが、今ではほとんど一軒もない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
横町に古くいた常磐津ときわづのお師匠しょさんで、貰ったむすめの悪かったばかりに、住み馴れたうちを人手にわたし、いまでは見るかげもないさまになって、どこかの路地に引っ込みました。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
三幕目は金助が鯱鉾を盗むところで、家橘の金助が常磐津ときわづつかって奴凧やっこだこの浄瑠璃めいた空中の振事ふりごとを見せるのであった。わたしは二幕目の金助の家を書いた。ここはチョボ入りの世話場せわばであった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)