巾幗きんかく)” の例文
もっとも右に述べたのは、皆新聞紙上に表れた者のみであるから、勿論吾人の視聴に触れない、幾多の巾幗きんかく登山者があったに相違ない。
女子霧ヶ峰登山記 (新字新仮名) / 島木赤彦(著)
巾幗きんかくというのは、まだこうがいかざす妙齢にもならない少女が髪を飾るぬのであって、蜀の人はこれを曇籠蓋どんろうがいともいう。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、日本の、明治の、巾幗きんかく小説家たちの、創世期時代の人々の名をあげたが、それは、そんな古いことではなかったから、錦子も、おぼろげながら知っていた。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
魏の将士はあやしみつつ陣門へ通し、やがて、使者の乞うまま司馬懿しばい仲達に取り次いだ。司馬懿はまずはこを開いてみた。——と、匣の中からは、あでやかな巾幗きんかく縞衣こういが出てきた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)