巻舌まきじた)” の例文
中国人が、急に巻舌まきじたの東京弁でしゃべりだしたのには、ちょっとおどろいたが、わけのわからないうちに安心はしない。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
父はそれがくせの、左の手でやぞうをきめて、新進的代言人らしくもなく、ならずもののような巻舌まきじたで言った。
振舞酒ふるまいざけの余勢で巻舌まきじたをつかってみましたが、からきり物になりません。提灯を切り落されると地面に突伏つっぷして
倫理学者デニング先生の講義は江戸児えどっこ流の巻舌まきじたと滞りなき日本語とによって聴客を驚かせた。これから先の世の中にもそれに似たような事が続々として現われずにはいないであろう。
仮寐の夢 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
博士はそろそろ巻舌まきじたになって来た。博士は純粋の江戸子えどっこで、何か話をして興に乗じて来ると、巻舌になって来る。これが平生寡言沈黙の人たる博士が、天賦の雄弁を発揮する時である。
里芋の芽と不動の目 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
父は巻舌まきじたで、晩酌をやりながら、そんなことを言った。法印さんは、そんなものも見る眼があったのだろう。