“巷(こうじ)” の例文
余はかの燈火(ともしび)の海を渡り来て、この狭く薄暗き巷(こうじ)に入(い)り、楼上の木欄(おばしま)に干(ほ)したる敷布、襦袢(はだぎ)などまだ取り入れぬ人家、頬髭(ほおひげ)長き猶太(ユダヤ)教徒の翁(おきな)が戸前(こぜん)に佇(たたず)みたる居酒屋、一つの梯(はしご)はただちに楼(たかどの)に達し
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
肩の摩れ合うような狭い巷(こうじ)や
楊弓店のある、狭い巷(こうじ)に出た。どの店にもお白いを附けた女のいるのを、僕は珍らしく思って見た。お父様はここへは連れて来なかったのである。僕はこの女達の顔に就いて、不思議な観察をした。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)