巧言こうげん)” の例文
言語を鄭重ていちょうにしたり温和にすれば、すぐに巧言こうげんと解し、威儀をもって語れば令色れいしょくと曲解し、すぐにすくないかなじんと結論をくだす。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
というと、加賀見忍剣かがみにんけん、もしや巧言こうげんをもって、若君をけどろうとする秀吉のさくではないかと、わざと、鉄杖てつじょうをズシーンと大地へつき鳴らして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爾来じらい治修は三右衛門を正直者だと思っている。あの男はとにかく巧言こうげんは云わぬ、頼もしいやつだと思っている。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
以テ彼ノ大学企図ノ大業ニ従フヲ以テ我畢生ひっせいノ任トナシ其任ヲ遂グルヲ以テ我無上の娯楽トナスノ外あえテ富貴ヲ望ムニ非ズ今ヤコノ書ノ発刊ニ臨ミテ之ヲ奇貨きかトシ又何ゾみだリニ巧言こうげんろうシテ世ヲあざむキ以テ名ヲもとメ利ヲ射ルノ陋醜ろうしゅうヲ為サンヤ敢テ所思ヲ告白シテ是ヲ序ト為ス
弁喜の巧言こうげんは、いかにも関羽の人格に服し、酒宴の燭は歓待をつくしているかのようであったが、廻廊の外や祭壇の陰などには、身に迫る殺気が感じられた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)