岡引おかっぴき)” の例文
権六は、少しく不安心になってきたものだから、後ろの席でこれもまがい勤番の木村に尋ねると、権六とは負けず劣らずの代物しろもので、岡引おかっぴきを勤めていた男。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大事な娘をさらわれたお蔭でうちを持つ事も出来ないから、岡引おかっぴきに頼んで金をつかい、娘の行方を尋ねて貰ったが知れない、その内漸々よう/\山の宿の宿屋で、沼田の是々の二人連の百姓が
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いかね、ちょいと岡引おかっぴきッて、身軽な、小意気な処を勤めるんだ。このおめえ、しっきりなし火沙汰の中さ。お前、焼跡で引火奴ほくちを捜すような、変な事をするから、一つ素引しょぴいてみたまでのもんさね。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
話し終えた岡引おかっぴきの半九郎は、変に皮肉に笑ったものである。
染吉の朱盆 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
岡引おかっぴき虎松とらまつは、師走しわすの三日をことのほかきらった。
くろがね天狗 (新字新仮名) / 海野十三(著)
追いかけたのとは反対の側から、また数十人、同じく役人、岡引おかっぴき、番太、破落戸、弥次馬の一連。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)