小盾こだて)” の例文
小盾こだても見えず、姿見をかたわらに、追って出る坊主からかばうのに、我を忘れて、帷子かたびらの片袖を引切ひっきりざまに、玉香を包み、信女をおおうた。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はね起きると、すばやく倒れた遣戸やりど小盾こだてにとって、きょろきょろ、目を左右にくばりながら、すきさえあれば、逃げようとする。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
守はピョコンと立上って、椅子を小盾こだてに取って身構えながら、えたいの知れぬ相手をにらみつけた。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
次の瞬間、銑吉の身は、ほとんど本能的に大榎おおえのきの幹を小盾こだてに取っていた。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)