小春凪こはるなぎ)” の例文
初阪はつざかものの赤毛布あかげっと、というところを、十月の半ば過ぎ、小春凪こはるなぎで、ちと逆上のぼせるほどな暖かさに、下着さえかさねて重し、野暮なしまも隠されず、頬被ほおかぶりがわりの鳥打帽で
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぽかん/\と薪を割り始めましたが、丁度十月の十五日小春凪こはるなぎで暖かい日でございます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小春凪こはるなぎ
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
れて、近来はそうまでもなかった処に、日の今日は、前刻城寄の町に小火ぼやがあって、煙をうかがいに出たのであるが、折から小春凪こはるなぎの夕晴に、来迎の大上人の足もとに
土屋様の下屋敷の長屋下を御詠歌を唄って、ひょっとして窓から報謝をと首を出す者が又市で有ったら何ういたそうと、八方へまなこを着けて窓下まどしたを歩くと、十月十五日の小春凪こはるなぎあったかいのに
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それは冷たかったけれども、小春凪こはるなぎの日の余残なごりに、薄月さえ朧々おぼろおぼろと底の暖いと思ったが、道頓堀で小休みして、やがて太左衛門橋を練込む頃から、真暗まっくらになったのである。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)