射的しゃてき)” の例文
銃口にはめた真鍮しんちゅうの蓋のようなものを注意して見ているうちに、自分が中学生のとき、エンピール銃に鉛玉を込めて射的しゃてきをやった事を想い出した。
雑記(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
といってちょっとポケットから椰子やしの実をのぞかしてむこうへ行った。多分たぶんモンマルトルのまつり射的しゃてきででも当てたのだろう。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
土地の請負師うけおいしだって云うのよ、頼みもしないのに無理に引かしてさ、石段の下に景ぶつを出す、射的しゃてきの店をこしらえてさ、そこに円髷まるまげが居たんですよ。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふゆさむばんのことだった。露店ろてん射的しゃてきに、おかみさんがあかんぼうをだいて、カンテラのそばにすわっていた。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ダリアの救いを求めた帆村は、最早もはや、先刻、射的しゃてきで遊んだ帆村とは別人べつじんのようであった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その後にも海岸の波止場はとばから落ちて溺れかかった事もあった。また射的しゃてきをしている人の鉄砲の筒口の正面へ突然顔を出して危うく助かった事もあった。
レーリー卿(Lord Rayleigh) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)