富札とみふだ)” の例文
「外には何にもありゃアしませんが、その富札とみふだが当ると千両になるでしょう、お品さん、どうか探し出して下さい、あれが無いと、私は命がなくなるかも知れない」
これると、わたし富札とみふだがカチンときまつて、一分いちぶ千兩せんりやうとりはぐしたやうに氣拔きぬけがした。が、ぐつたりとしてはられない。改札口かいさつぐち閑也かんなりは、もうみな乘込のりこんだあとらしい。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから画伯デュラーの住居の跡も見ましたが、そこの入場券が富札とみふだになっています。名高い古城の片すみには昔の刑具を陳列した塔があります。色の青い小さい女が説明して歩く。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
当たった富札とみふだをふり廻しているような興奮で一世一代の仕事だと考えた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)