宿替やどがえ)” の例文
新吉もお累が死んで仕舞ったあとは、三藏から内所で金を送る事もなし、別に見当みあてがないから宿替やどがえをしようと、欲しがる人に悉皆そっくり家を譲って、時々お賤の処へしけ込みます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それにこの大学生は肺結核をわずらっていて、日に増し悲観な厭世えんせいに陥るようになった。あれやこれやで何処どこわき宿替やどがえをするようなことになった。その時主人は、幸い物置がいている。
白い光と上野の鐘 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
こんなふうにして歩いていると、暑さと疲労とで自然身体からだの調子が狂って来るものです。もっとも病気とは違います。急にひとの身体の中へ、自分の霊魂が宿替やどがえをしたような気分になるのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)