容捨ようしゃ)” の例文
ほのおのような眼に射られると知った十八九の町娘は、おもてを伏せて人混みの中へ潜りました、が、飛附とびついた手先には何んの容捨ようしゃもありません。かばい加減に押し包んだ群衆の中から、ズルズルと引立てて
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
仁右衛門は長幼の容捨ようしゃなく手あたり次第に殴りつけた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ガラッ八の馬鹿力が、容捨ようしゃもなく汚な作りのお勘坊をさいなみます。
主人の佐久間勘解由かげゆは、東照宮入国のお供をして大伝馬町に住み付き、代々公儀の御用達を勤める身分ですが、生得気むずかしく、物事に容捨ようしゃを知らぬ心掛けの人間で、それに連れ添う内儀のおすぎ
平次は日頃にもない容捨ようしゃのならぬ顔を見せます。
「よし、その気なら、容捨ようしゃはせぬぞ、来い」
容捨ようしゃも情けもない、深刻な深縄です。