容姿きりやう)” の例文
「そいつあ、困つたなあ。誰が目から見ても容姿きりやうぢやちよつと過ぎた良人だからなあ。細君の方で反抗したつてそれあ駄目だよ。」
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
我儘わがまゝそだちで、其れに耶蘇ヤソだからツて申した所が、松島さんのつしやるには、イヤ外国の軍人と交際するには、耶蘇のかゝあの方がかへつて便利なので、元々梅子さんの容姿きりやうが望のだから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
人種さへ変りが無くば、あれ程の容姿きりやうを持ち、あれ程富有ゆたかな家に生れて来たので有るから、無論相当のところへ縁付かれる人だ——彼様あんな野心家のゑばなぞに成らなくてもむ人だ——可愛さうに。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
不具になつても御厭おいとひなさらぬか、へ、自分がドンなに別嬪べつぴんだと思つて居るんだ、彼方あつちからも此方こつちからも引手ひくて数多あまたのは何の為めだ、容姿きりやうや学問やソンな詰まらぬものの為めと思ふのか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)