宦者かんじゃ)” の例文
それから間もなく、帝の恩寵をこうむっている宦者かんじゃが何か親族の罪に連坐れんざして、遠い南の国へ流しやられることになった。
稿をつづけていくうちに、宦者かんじゃとか閹奴えんどとかいう文字を書かなければならぬところに来ると、彼は覚えずうめき声を発した。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
トルコのソリマン二世一日睾丸抜いた牡馬が戯るるを宦者かんじゃも丸を去ったばかりでは不安心とて、その根部を切り尽さしめ後帝世々その制を沿襲した。
高帝こうてい升遐しょうかしたもう時、遺篋いきょうあり、大難に臨まばあばくべしとのたまいぬ。謹んで奉先殿ほうせんでんの左に収め奉れりと。羣臣ぐんしん口々に、いだすべしという。宦者かんじゃたちまちにして一のくれないなるかたみきたりぬ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)