客来きゃくらい)” の例文
旧字:客來
「まことに、お待たせいたしました。あいにくと、お客来きゃくらいがかさみまして、殿さまのお立ちあそばすおいとまもございませぬので……」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「主人の少納言、あいにくの客来きゃくらいでござれば、御対面はかなわぬとの儀にござる。失礼は御免、早々にお帰りあれ」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
鈴木君がしきりに主人の動静を研究していると、表の門ががらがらとあく、客来きゃくらいかと思うとそうでない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まあ小麦の団子を入れるのが余程上等の分で、それも正月とか客来きゃくらいの時にでも喰うが関の山、普通はただ麦焦しの粉を入れて、どろどろにこしらえてその中に草の花を入れるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
と同時にまた別荘番が一言いちごんもこの客来きゃくらいを取次がないのも不審だった。しかしその男は私の冷淡な言葉にもめげないで、もう一度額を畳につけると、相不変朗読あいかわらずろうどくでもしそうな調子で
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
少々仔細あって申し上げたい儀がございまして罷り出ましたが、大分お客来きゃくらいの御様子、折角の御酒宴のお興をさましては恐入りますが、御別席を拝借致して先生に申し上げたいことがありまして
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「はッ、あなた様にお客来きゃくらいにござりまする。」
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お客来きゃくらいでしたか、失礼」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大「あゝ大きに御苦労だが、又廻りの刻限が来たから往ってもらわなければならん、昼間お客来きゃくらい遺失物おとしものでもあるといかんから、仁助にすけわしが一人で見廻ろう、雪がちらちらと来たようだから」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「しかし、お客来きゃくらいのところへお邪魔をしましては。」
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)