定席じょうせき)” の例文
なにも知らぬ岡安は、はりこんでいる刑事の間を、すれすれにくぐりぬけてきたことも知らずに、いつもの定席じょうせきに腰を下した。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いつも夜店のにぎわ八丁堀北島町はっちょうぼりきたじまちょうの路地には片側に講釈の定席じょうせき、片側には娘義太夫むすめぎだゆうの定席が向合っているので、堂摺連どうするれん手拍子てびょうしは毎夜張扇はりおうぎの響に打交うちまじわる。
もしその辺に友達が散歩していて、彼が安来節の定席じょうせきからコソコソと出て来るところを見られでもしたら、と思うと気が気でなかった。ひとりでに歩調が早くなった。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
床本ゆかほんとお弁当とをもって、文楽座に通うのを毎日の仕事としていた他意なき熱心さを、大阪第一流の女義の定席じょうせき播重はりじゅうの主人にみとめられたのが出世のはじまりとなった。
豊竹呂昇 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)