宙天ちゅうてん)” の例文
ここ一番の勇気をふるいおこして、わしぬすみのはなれわざ、小屋の前からさッと一陣の風をくらって、宙天ちゅうてんへ乗り逃げしてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平山の首は宙天ちゅうてんに飛んで、一緒に寝ていた小栄のかおに血がさっとかかる。小栄は夢を破られてキャーと叫ぶ。
洋館ぜんたいが宙天ちゅうてんにふっとんだかとうたがわれるほどの大音響でした。でも、閉じていた目をおずおずとひらいてみると、賊のかくれがは、べつじょうなく目の前に立っていました。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ア——と竹童ちくどうは目をみはっていると、たちまち、宙天ちゅうてんからすさまじい疾風しっぷうを起してきた黒い大鷲おおわし、鶴を目がけてパッと飛びかかる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まず前芸と致しまして槍投げの一曲、宙天ちゅうてんに投げたる槍を片手に受け留める……」
それは剣法けんぽうでいう梢斬こずえぎりともいうべきあざやかなものである。たれかよく、宙天ちゅうてんから斬りさげてくるこの殺剣さっけんをのがれ得よう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宙天ちゅうてんの三日月へ合掌して、こう誓言せいごんをたてた青年の発足を、彼はいま、新たに胸へ呼び返していた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄徳は夢中にさけびながらその影を追って、前殿の廻廊まで走り出したが、そのとき宙天ちゅうてんこんの月がまりのように飛んで西山へ落ちたと見えたので、あっとおもてをおおいながらそれへ倒れてしまった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)