宇治川うじがわ)” の例文
「もののふの八十氏やそうぢ」は、物部もののふには多くのうじがあるので、八十氏やそうじといい、同音の宇治川うじがわに続けて序詞とした。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
皇子おうじはまず第一に、宇治川うじがわのほとりへ、こっそりと兵をしのばせておおきになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
恋すちょう、身は浮き舟のやるせなき、波のまにまに不知火しらぬいの、燃ゆる思い火くるしさに、消ゆる命と察しゃんせ。世を宇治川うじがわ網代木あじろぎや、水にまかせているわいな……といった風情。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
われら二人抜けけてこの濁流にこまをすすめ、かの宇治川うじがわ先陣、佐々木と梶原かじわらごとく、相競って共に向う岸に渡って見せたら、臆病おくびょうの式部はじめ供の者たちも仕方なく後からついて来るだろう。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
もののふの八十やそ宇治川うじがわの秋の水
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)