字音じおん)” の例文
自分は字音じおん仮名づかいを父に習ったばかりで、これまで定まった師匠に就いて学んだことはない。いわば我流でお恥ずかしいと言った。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ボッカは文字に書くと歩荷、古い日本語ではカチニといっていたのを、いつの頃よりかしゃれて字音じおんで呼ぶようになっているのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
和名わめいとして今日こんにちわがくにでは、芍薬をシャクヤクと字音じおんで呼んでいることは、だれもが知っているとおりであるが、しかし昔はこれをエビスグサ、あるいはエビスグスリととな
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
卒業の折はもう平和克復こくふくしていたけれど、戦後の不景気という奴が、私達につき纏った。唯さえ字音じおん「飯が食えん」に通じる明治学園の出身だ。就職口が絶対にない。皆困った。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
日本の最初の口言葉くちことばでは、それを何といったのか明らかでないが、少なくとも今のようにカンショクという人はもとはなく、ケンズイと字音じおんで呼んだのが古いことであった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
私達の母校明治学園は字音じおん
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)