子年ねどし)” の例文
政は首を振った、「その宇田川町の家が子年ねどしの火事できれいに焼けちまって、親たちのゆくえも知れねえっていう話でした」
あすなろう (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
奉「茂二作並に妻由、其の方ども先日半右衞門妻柳が懐妊いたしたを承知せしは、当年より二十九ヶ年前、即ち寛政四子年ねどしで、男子の出生しゅっしょうは其の翌年の正月十一日と申したが、それに相違ないか」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「これかね、寛政子年ねどし津浪つなみ死骸しがいかたまっていた処だ。」
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「生れたのは宇田川町、うちは小さな酒問屋だった、くらというのは古い酒蔵が二棟で、一つは半分こわれかけていたっけ、子年ねどしの火事できれいに焼けちまったそうだがね」
あすなろう (新字新仮名) / 山本周五郎(著)