おむな)” の例文
竹取たかとりの翁と娘子等の問答(巻十六)のほかに、石川女郎いしかわのいらつめの、「古りにしおむなにしてや斯くばかり恋にしづまむ手童たわらはごと」(巻二・一二九)があり
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
当麻語部たぎまのかたりべおむななども、都の上﨟じょうろうの、もの疑いせぬ清い心に、知る限りの事を語りかけようとした。だが、たちまち違った氏の語部なるが故に、追い退けられたのであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
さうして、毎月頻繁に氏の神其外の神々を祭つて、其度に、家の語部かたりべ大伴ノ語ノみやつこおむなたちを呼んで、之に捉へやうもない大昔の物語をさせて、氏人に傾聴を強ひて居る。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
そうして年々としどし頻繁に、氏神其外の神々を祭っている。其度毎に、家の語部大伴語造おおとものかたりのみやつこおむなたちを呼んで、之につかまえ処もない昔代むかしよの物語りをさせて、氏人に傾聴を強いて居る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
荒々しい声と一しよに、立つて表戸と直角かねになつた草壁の蔀戸しとみどをつきあげたのは、当麻語部たぎまかたりおむなである。北側に当るらしい其外側は、牕を圧するばかり、篠竹が繁つて居た。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
皆の人はけはいで、覚め難い夢から覚めたように、目をみひらくと、ああ、何時の間にか、姫はおむな両腕もろうで両膝の間には、居させられぬ。一時に、慟哭どうこくするような感激が来た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
志斐おむなの負け色を救ふ為に、身狭乳母むさのおもも口を挿む。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)