娘子軍じょうしぐん)” の例文
切符売場から、楽屋口から、待合室から、劇場を十重廿重にとりまいて占領した娘子軍じょうしぐんは、実にボージャク無人、余人をよせつけない。
じっさいには、木曾の娘子軍じょうしぐんというものは、粮食の運搬、炊事すいじ、死傷の看護、縫工ぬいこうなどの面で、ずいぶん軍務をたすけていたのではないかと思われる。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その女王三百人の娘子軍じょうしぐんを率い急ぎ来って王の胤を孕みたいと切願し、聞き届けられて寵愛十三昼夜にわたった。
現に独逸ドイツ娘子軍じょうしぐんは、紐育ニューヨーク市俄古シカゴという如き北米の大都市に遠征して跳梁ちょうりょうを極めており、英国辺でも等しくこの娘子軍の累を受けているが、このわざわいは何時いつまでも外よりのみは来らず
婦人問題解決の急務 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
翌年ひとり芳原よしわら小格子こごうしに遊び、三年を出でざるに、東廓南品、甲駅、板橋、凡そ府内の岡場所おかばしょにして知らざる処なきに至る。二十四歳海外に渡航するや五大洲各国の娘子軍じょうしぐんげきまじへ皆抜羣ばつくんの功あり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
セムシ詩人が森の妖婆の杖みたいなものにすがって玄関から出てくると、外に勢ぞろいの見送りの娘子軍じょうしぐんの中から、あやかさんが
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
そして、二日でも三日でも、捕虜たちの解放されるまで、彼女もまた娘子軍じょうしぐんの幾十人かと共に、関内の店とかけもちに、ここで眼を紅くしておとりまきをしているのだった。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)