委敷くはしく)” の例文
と忽ち心一けつ爲し久左衞門はやがて江戸へと久八を連て下り弟六右衞門にあひて事の仔細を委敷くはしく話し頼み置つゝ歸りけりよつて六右衞門所々しよ/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
六左衛門のことは、其時、二人のうはさに上つた。蓮太郎はしきりに彼の穢多の性質や行為おこなひやらを問ひ尋ねる。聞かれた丑松とても委敷くはしくは無いが、知つて居るだけを話したのは斯うであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
委敷くはしく申立且昌次郎の鼻の下にくろ黒子ほくろありと云ければ越前守殿二人ども多分存命ぞんめいにてあらん其方に手懸てがかりはなきやとのことなれども一同さらに手懸りなきむね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『見たまへ、まあこの信濃毎日を。』と郡視学は馴々敷なれ/\しく、『君が金牌を授与されたといふことから、教育者の亀鑑だといふこと迄、委敷くはしく書いて有ますよ。表彰文は全部。それに、履歴までも。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
委敷くはしく申聞られしにより吉兵衞は其始末しまつを聞より大いに驚き扨は娘島事は嘉川主税之助殿の手にかゝ非道ひだう最期さいご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)