妙椿みょうちん)” の例文
美濃の領主は土岐氏であるが、そのころ斎藤妙椿みょうちんという坊主あがりの家来が実権を奪っていた。土岐氏は名目上の殿様にすぎなかった。
梟雄 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
しかも戦乱の時代に連歌師の役目は繁忙を極めている。差当さしあたっては明日にも、恐らく斎藤妙椿みょうちんのところへであろう、主命で美濃みのへ立たなければならぬと云うではないか。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
応仁二年将軍の近臣斎藤妙椿みょうちんが、乱の紛れに東氏の先祖が拝領した美濃国みののくに山田荘を横領したので、常縁はすこぶる悲しんで一首の歌を詠じたのが妙椿に伝わり、同情を得て取り返すことができた。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
これだけでも一部の小説とするに足る。また例えば素藤もとふじの如き、妙椿みょうちんが現れて幻術で助けるようになってはツマラないが、浮浪の盗賊からとにかく一城の主となった経路には梟雄きょうゆうの智略がある。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
しかも戦乱の時代に連歌師の役目は繁忙を極めてゐる。差当さしあたつては明日にも、恐らく斎藤妙椿みょうちんのところへであらう、主命で美濃みのへ立たなければならぬと云ふではないか。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)