妄言もうげん)” の例文
こう云うとおそらくあなたは妄言もうげんだとお思いになるでしょうが、それはあなたがまだ水戸を知らず東湖先生の精神を知っていないからです
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それに、秀吉の行動が、予想外にはやく、彼らのどぎもを抜いたことも手伝い、かくて嘘説きょせつ妄言もうげん入りみだれて、臆病風に拍車をかける結果を生じたものというしかない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ願うらくはかの如来にょらい大慈だいじ大悲だいひ我が小願の中において大神力を現じ給い妄言もうげん綺語きご淤泥おでいして光明顕色けんじき浄瑠璃じょうるりとなし、浮華ふかの中より清浄しょうじょう青蓮華しょうれんげを開かしめ給わんことを。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それまでの、のへのへと笑み妄言もうげんを言うケティは、もう何処かへ消えてしまったのだ。
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
司馬懿は陣中の迷信に弾圧を加え、厳しく妄言もうげんいましめたが、孔明は一種の神通力を持って、奇蹟を行う者だという考えは牢固ろうことして抜くべからざる一般の通念になってきた傾きすらあった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)