妄執もうしゆう)” の例文
多時しばらくかどに居て動かざるは、その妄執もうしゆう念力ねんりきめて夫婦をのろふにあらずや、とほとほと信ぜらるるまでにお峯が夕暮の心地はたとへん方無く悩されぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
色相界しきそうかい妄執もうしゆう
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
貫一はいつはかの痛苦を忘るる手段として、いつはその妄執もうしゆうを散ずべき快心の事を買はんの目的をもて、かくは高利をむさぼれるなり。知らず彼がそのゆふべにしてめいせんとする快心の事とは何ぞ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)