奴姿やっこすがた)” の例文
折しも湯島台から、近道を、上野山内さんないへと急ぐ人と見えて、大なし絆纒はんてん奴姿やっこすがたしもべを供につれた若衆わかしゅひとりと、そで擦り合わんばかりに行き違ったのであります。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
最後に進むは奴姿やっこすがたの雲突くばかりの大男でニョッキリはぎを剥き出しているのもそれらしくて勇ましい。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そしてまたその市毛甚之丞の傍らに奴姿やっこすがたをして控えているのが、これぞ逐電先を追い求めてやって来たところの、古高新兵衛馬丁六松であることは、一目にして瞭然でした。
奴姿やっこすがたの大男が人家の軒から投げた飛礫つぶてが若衆の危難を救ったのである。若衆は刀を投げ捨てると、飛燕のように飛び込んで行った。手弱女を膝下に抑えたのである。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)