太閤記たいかふき)” の例文
けれども、北陸線ほくりくせんつうじなかつた時分じぶん舊道きうだう平家物語へいけものがたり太平記たいへいき太閤記たいかふきいたるまで、だたる荒地山あらちやまかへる虎杖坂いたどりざか中河内なかのかはちひうちたけ
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
梅幸と云ひますのは、当時、丸の内の帝国劇場の座附俳優で、唯今、太閤記たいかふき十段目のみさをを勤めて居る役者です。
手巾 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
熟柿じゆくしを食べてしまふと、すぐに読みさしの太閤記たいかふきをひらき、お母さんは縫物をはじめた。それから後のことは、おぼえてゐない。もう二十年余りも昔のことだから。
お母さんの思ひ出 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
背戸の丸木川まるきがはの水も、氷りつめて、しん/\と寒さが身にしみるやうだ。お母さんは縫物をしてゐる。私は太閤記たいかふきかなんぞ読みふけつてゐる。二人とも黙りこくつて、大分夜も更けたころだつた。
お母さんの思ひ出 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)