天部てんぶ)” の例文
本朝ほんてう出来の像としては、まづ此程物凄い天部てんぶの姿を拝んだことは、はじめてだと言ふものもあつた。神代の荒神たちもこんな形相ぎやうざうであつたらうと言ふ噂も聞かれた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
やはり他の天部てんぶ夜叉部やしゃぶ等の修法の如くに、相伝を得て、次第により如法にょほうに修するものであろう。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
地蔵、観音、勢至せいし文殊もんじゅ普賢ふげん虚空蔵こくぞうなどある。それから天部てんぶという。これは梵天ぼんてん帝釈たいしゃく、弁天、吉祥天きっしょうてん等。次は怒り物といって忿怒の形相をした五大尊、四天、十二神将じんしょうの如き仏体をいう。
天部てんぶつらぬくはげしさに
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何しろ此二つの天部てんぶが、互に敵視するやうな目つきで睨みあつて居る。噂を気にした住侶たちが、色々に置き替へて見たが、どの隅からでも相手の姿を眦を裂いて見つめて居る。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
本朝出来の像としてはまず、此程物凄い天部てんぶの姿を拝んだことは、はじめてだ、と言うものもあった。神代の荒神あらがみたちも、こんな形相でおありだったろう、と言う噂も聞かれた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)