大谷おおたに)” の例文
翌日は姉の子供の娘一人と定雄の子供の長男次男と、それに定雄夫妻に姉、総勢六人で父母の骨を納めてある大谷おおたにの納骨堂へ参った。
比叡 (新字新仮名) / 横光利一(著)
明治三十九年五月三十日 大谷おおたに句仏くぶつ北海道巡錫じゅんしゃくの途次来訪を機とし、碧梧桐庵小集。会者、鳴雪、句仏、六花りっか、碧梧桐、乙字、碧童、松浜。
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「もういいね。十羽ばかり取ったがね。僕が十羽、大谷おおたにが七羽、加瀬かせ山内やまのうちが八羽ずつ」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大谷おおたにさんの親鸞聖人というものが出ておりますが、そういうようなものによるとそうではないようでありますが、しかし親鸞聖人の実際のあり方、信仰の全体のところから申しまして
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
春なれば茶摘みのさま汽車の窓より眺めて白手拭の群にあばよなどするも興あるべしなど思いける。大谷おおたにに着く。この上は逢坂おうさかなり。この名を聞きて思い出す昔の語り草はならぶるもくだなるべし。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もう大谷おおたにの法燈は、真ッ暗なものになり終ってしまうでしょう。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さくら花散りにちるかな思ひ出もいや積みまさる大谷おおたにの山
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「ごめん下さい。大谷おおたにさん」
ヴィヨンの妻 (新字新仮名) / 太宰治(著)