大見得おおみえ)” の例文
その絵巻物が又、現代の物質万能の世界に大見得おおみえを切って出現して、恐るべき悲劇を捲き起した……というのが大体の筋道だがね……
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
といって、ここで木下藤吉郎のように、(いや、わたくしは今に大成功をする、お前さんの占いは正しいのだ)と大見得おおみえを切る元気もなかった。
第四次元の男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
よくもこう一個の身で、ぼんと非凡、大度たいどと細心、大見得おおみえとまるはだかとの、仕分けができるかとおもわれるほど、いわゆる達者な生命力を、日々、飽くことなく生きていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
踏段へ足をかけて大見得おおみえをきったのですから、道庵が驚き怖れたのも無理はありません。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
胸に慢心まんしんのいっぱいな蛾次郎、天狗てんぐの面をかぶったように、鼻たかだかと大見得おおみえをきった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、三千子は、桃の木のそばで、首をかしげた。一向そんな血醒ちなまぐさい光景でもなく、青竜刀を横に払って大見得おおみえを切っている水牛僧の部が、むしろ間がぬけて滑稽こっけいに見えるくらいであった。
鬼仏洞事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と女将が大見得おおみえを切った。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
越前きたしょうの城をじっさいにきずいたわが八風流はっぷうりゅうでは! と、ここで卜斎、大見得おおみえをきっていばりたかったところなのであるが、なぜか、グッ……とまっになって、絶句ぜっくした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)