大肌脱おおはだぬぎ)” の例文
むき身しぼり襦袢じゅばん大肌脱おおはだぬぎになっていて、綿八丈の襟の左右へはだけた毛だらけの胸の下から、ひものついた大蝦蟇口おおがまぐち溢出はみださせて、揉んでいる。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くから、出しなには寒かったで、布子ぬのこ半纏はんてんを着ていたのが、その陽気なり、働き通しじゃ。親仁殿は向顱巻むこうはちまき大肌脱おおはだぬぎで、精々せっせっっていたところ
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……描ける花和尚かおしょうさながらの大入道、この人ばかりは太ッ腹の、あぶらぼてりで、宵からの大肌脱おおはだぬぎ
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
地獄の口のいた中から、水と炎の渦巻を浴びて、黒煙くろけむり空脛からすねに踏んで火の粉を泳いで、背には清葉のまましい母を、胸には捨てた(坊や。)の我児わがこを、大肌脱おおはだぬぎの胴中へ
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)