大牢おおろう)” の例文
幕府の末期までこの辺に伝馬町てんまちょう大牢おおろうとともに芳原よしわらがあったので、芳町といい大門通りというのも、それにちなんだものだと言われていたが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
と決行を計って、かねて目をつけておいた櫓下やぐらした大牢おおろうの外へ這いよってゆくと、そこに番人とも見えぬ男が、やはり自分のように忍びよって、しきりに牢内をうかがっている。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三千五百坪の地内に揚座敷あがりざしき揚屋あがりや大牢おおろう二間半にけんはん(無宿牢)、百姓牢、女牢、とむねをわける。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お江戸自慢の巻き羽織に朝風をはらんで、血のけもないほどにうちうろたえている源内をいたわりいたわり、越中橋から江戸橋、大伝馬町、小伝馬町と、ひた急ぎに伝馬町の大牢おおろうへ急ぎました。