大明国だいみんこく)” の例文
血管のなかにはまだ夜来の酒気もそのままかおっているかのような夢中と現身うつしみの境に、彼の脳裡のうりには、南方の島々や高麗こうらいの沿海や、ゆくてに大明国だいみんこくをさしている大船列や
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉の朝鮮出兵は、朝鮮を討つためではなくて、大明国だいみんこくを征するのが目的であつた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
雪舟もいいましたね、大明国だいみんこくにわが師とすべき画はない、山水のみが師だ……と。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大明国だいみんこくとの和議が整いかけて、凱陣の士卒がわずかに休養する暇もなく、又もや斯かる普請を起して諸国の人馬を労すると云うのも、つまるところはおひろいに対する愛情の結果であると思えば
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「それは教えもしよう、が、修業はなかなかむずかしい。私の体得した術というのは、そのむかし、果心居士かしんこじという道人が、大明国だいみんこくにわたって、神仙から習得したといわれている、幻術の一種じゃ。私はそれから三代め」
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
それがいつでもご自慢の大明国だいみんこくのはなしだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)