大旱たいかん)” の例文
当時の官省は旧思想の人物を以て充たされていたから、新智識を有するものを欲することは大旱たいかん雲霓うんげいもただならずである。
東洋学人を懐う (新字新仮名) / 大隈重信(著)
そうして大旱たいかんに逢った時に、深層の水分を取ることが出来なくなって、枯死してしまう。
鑢屑 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
大旱たいかんの夜のしじま、とでもいうべきものを描いたのである。降れと待つ雨は一向降らず、今宵こよいも明るい月が澄んでいる。暑にあえぐ人はまだ寝かねて、蚊遣を焚きながら月を見ている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
およ是等これらは当時の古風家に嫌われる事であるが、幸に私の著訳は世間の人気に役じて渇する者に水を与え、大旱たいかんに夕立のしたようなもので、その売れたことは実に驚く程の数でした。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
洪水こうずい天にはびこるも、の功これを治め、大旱たいかん地をこがせども、とうの徳これをすくえば、数有るが如くにして、しかも数無きが如し。しんの始皇帝、天下を一にして尊号そんごうを称す。威燄いえんまことに当るからず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)