外郭がいかく)” の例文
もう独軍の重砲弾が、盛んにワルシャワの外郭がいかくを見舞っている。自分は、夜が明ければ、この鏖殺的おうさつてきな砲弾の洗礼を受くべく戦場へ向うのである。
勲章を貰う話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
球形の外郭がいかくには、たくさんの窓があいている、もちろん穴はあいていない。厚い透明体の板がこの窓にはまっている。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大内裏の外郭がいかくをなす十二の門のほかに、べつに掖門えきもんとして、上東門院と、上西門院とがある。王城の森の北端、殷富いんぷ門の先に見えるのが、それである。
この犯人の靴跡の個有こゆうの型状——例えば、全体に小さい事や、外郭がいかくの幅が普通の靴底のそれよりも遥かに平坦で細長い事や、土つかずの割合が大きくそして特異である事や、そして又
花束の虫 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
窓の外は病院の中庭で、そこに外郭がいかく煉瓦れんがで囲った手術室がある。手術室には煌々こうこうと燈火が点いている。中では順吉の手術が行われているわけである。薄闇の中で手術室の窓はいかにも明るい。
夕張の宿 (新字新仮名) / 小山清(著)
帝都の外郭がいかくにそっと環状かんじょうを描いて走る省線電車は、窓という窓をすっかり開き時速五十キロメートルの涼風りょうふう縦貫じゅうかんさせた人工冷却フォースド・クーリングで、乗客の居眠りを誘った。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
書写山しょしゃざんを本営とする秀吉の戦法は、いわゆる定石どおりにその外郭がいかくの敵を一城ずつ攻めて行った。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この賊を追わば、荊州へ一挙に兵を入れ給うて、劉予州と鼎足ていそくのかたちをとり、呉の外郭がいかくをかため、民を安んじ、長久の治策を計ること、それはまず後日に譲ってもよいでしょう
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「つまり、怪星ガンのなかにはあのように、しっかりした建造物があるんだ。霧かゴムのようにふんわり軟い外郭がいかくがあるかと思うと、そのなかにはあのようなしっかりした建造物がある。いよいよふしぎだねえ」
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
いま、そのあらゆる外郭がいかく陣営を破られても、なおかつ
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)