塵外じんがい)” の例文
その上にその学識と世界の事情に通じて居るところを考えて見ても、決してあなたを塵外じんがいの僧侶と認むることが出来ない。もはや今日我が前においてその秘密を守る必要はない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
塵外じんがいのおひと、殊には老躯、たいがいな俗務は、わたくしが皆、いたしております」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
既ニ衣食ノ愁アリ塵外じんがいノ超然得テ望ム可ラズ顧レバ附托ノ大任横ハツテ眼前ニ在リ進ンデ一ニ身ヲ其業ニ委スル能ハズ此ニ於テカ余ハ日夜其任務ノ尽ス能ハザルヲうれヒ其公命ニそむクノ大罪ヲおそレ又遂ニ我素志ノ果ス可ラザルヲ想ヒ時ニ心緒しんちょ乱レテ麻ノ如キモノアリ
剃髪ていはつして仏門に入ろう。そして争闘興亡の圏内けんないから遁れ去ろう。同時にかつての栄門に還る夢望を捨て、一切の執着しゅうじゃくを洗い、上杉家の長い恩顧を謝して、飄乎、高野の塵外じんがいへかくれよう。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)