塩昆布しおこんぶ)” の例文
茶の間へ行くと、もう、夕食のぜんが出ている。薄い味噌汁みそしると、塩昆布しおこんぶに麦飯を女中と差し向いで食べると、あとは卵を破って黄身をぐっと飲んでおく。
晩菊 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
発育盛りの年頃にしては前から食慾が旺盛おうせいでないのであるが、その傾向が募って来て、毎食一二ぜんしか食べず、お数も、塩昆布しおこんぶとか、高野豆腐こうやどうふとか、老人の食べるような物を好み
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
塩昆布しおこんぶ 秋 第百九十二 昆布こんぶスープ
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
毎朝別にいている土鍋どなべの御飯の、おかゆのように柔かいのがすっかり冷えてしまったのを茶碗ちゃわんに盛って、塩昆布しおこんぶを載せて食べている母親は、お膳の上へ背を円々とおおいかぶさるようにしていた。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)