堅儀かたぎ)” の例文
お父ちゃんも今堅儀かたぎで、お光ちゃんの夢ばっかし見てはるえ。あっという間にお光を連れて、寺田屋の三十石に乗ってしまった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
芸者とも令嬢とも判断のつき兼ねる所はあるが、連れの紳士の態度から推して、堅儀かたぎの細君ではないらしい。
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
昔は寒稽古と云って寒中夜のしらしら明けに風に吹きさらされながら稽古をするという習慣があったけれども道修町は薬屋の多い区域くいきであって堅儀かたぎ店舗てんぽのき
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
今日でこそ有閑ゆうかん婦人の贅沢はさまで珍しくないようなものの昔は男子でもそうは行かぬ裕福ゆうふくな家でも堅儀かたぎな旧家ほど衣食住のおごりをつつし僭上せんしょうそしりを受けないようにし成り上り者にするのを
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)